「…!!!」
「…ぁ!?」
合コン開催場所は某居酒屋。
男グループはもう中だって、とに言われ、店に入った瞬間見たことのある顔に出くわした。
しかもはそいつのいるグループに向かって話しかけてるじゃありませんか。
「久しぶりー結人」
「おー!社会人っぽいじゃん!」
私の呆然とした状態に気づかずには「結人」といわれる茶髪の男性のもとへ歩き始めた。
私もとりあえずついて歩く。
えーと、ちょっと待て。落ち着こう、私(静まれ心臓)
が合コンを組んでくれるって言って。
で、店に入って、と。(そこまでは普通の流れよね?)
が「久しぶりー」なんて近寄ってる男の人の隣に…
なんで真田一馬がいるのよぉーーー!!(汗)
―コツン
右ひじで軽くの肩を叩く。
「ちょっとさん?えーと、話が違いませんか?」
「なにが?」
「なにがじゃなくて…あの、真田君がいるんだけど」
「真田君?」
「同じ課の人…。私が2課で彼が1課」
「ありゃりゃ。それは奇遇」
「奇遇じゃなぁーーーい!!涙」
ここにちゃぶ台があったらひっくり返してたところだよ!
「なんだ、一馬と知り合いなんだ?」
結人が笑顔で問いかける。
「え、うん…同じ広報課で」
「うっわー。偶然じゃん!じゃあ仲いいんだ!」
「は?」
全然!とかいいそうになったけど空気を読んでやめておいた。
「まぁ、とりあえず座ろうぜ!ドリンクも頼まなくちゃだし。俺ら勝手に先に飲んじゃったんだよなー。ごめんな!もう一回乾杯しよーぜ」
まるで少年のように笑う彼に、は一瞬戸惑う。
今まで周りにいなかったタイプの人だ。
私は女子大だったからこういうタイプの男と接する機会がなかったんだ。
「男三人に女二人だからさ、俺らの間に入ってよ」
結人が意気揚々と言う。
テーブルは円く、5人だとちょうどよく座れる。
…と、隣?
ふとを見ると、彼女は結人の右隣に座ってる。
えと、の右には…なんかクールな人が座ってる…。
てことは…
強制的に真田一馬の隣じゃん!!(ひぃい)
「…はぁ」
は小さなため息をつくと、しぶしぶと空いた椅子に腰をかけた。
「じゃ、全員そろったところで自己紹介しよーぜ!ていっても、知り合いばっかだけど(笑)俺は若菜結人。コイツらとは小学校からの付き合いで、とは違う大学だったんだけど、サークルの交流で知り合ったんだ」
横目で結人が言うと、は「そうそう」と笑顔で頷いた。
「じゃ、次英士な」
結人が言うと、英士と呼ばれた人が声をあげる。
「郭英士です。二人とも気づいてないかもしれないけど、俺も同じ会社だよ。企画課だから知らないかもね」
ぇ!?この人同じ会社だったの!?
「なんで私らのこと知ってたの?」
が反射的に問う。
「二人ともまわりから色々聞くし」
……なにを?汗(by&)
「じゃ、一馬も自己紹介しなよ」
「あ、ああ、うん」
私の隣の真田はゴニョゴニョと話し出す。
…ん?なんか会社のときとイメージが違う気がしないか?
「真田一馬です…」
一言で沈黙。
「…」
ん?ん?終わり!?
やっぱり無愛想だよね。この人…。
思ったとおり気が合いそうにない感じ。
「かじゅま…ほんっとにヘタレだなー」
結人があきれながら笑う。
「結人。からかいすぎると一馬泣くから」
「なっ泣かねーよ!!(真っ赤)」
…あれ。
なんか真田君のイメージが…(くらくら)
「じゃあも自己紹介な!」
「うん。えと、結人とはサークルつながりで友達のです。結人からよく2人のことは聞いてたけど、一馬君と英士君は喋るの初めてよね」
「ああ、そうだね」
「これを機会に仲良くなろうね」
が愛想よく笑う。
「じゃ、次はね」
笑顔のまま私にふる。
「あ、う、うん。です。大学はとは違ったんだけど、高校からの友達なの。えと、今日はよろしく」
ペコっと頭をさげる。
するとちょうどよくドリンクが届き、乾杯となった。
「乾杯――!」
カシャンとグラスとグラスを合わせて、少しずつ会話が始…………まらないよ(汗)
英士君はずっとと結人君と話してて。
必然的に私と真田君のツーショットなっちゃうんですけど?汗
「…えーと…」
思わず言葉を選んでしまう。
「真田君も、コンパとか来るんだね」
「…え!いや…初めて」
「へぇー。初め……え!?」
思わず彼の顔を見る。
「な、なんだよ!」
「うわ。すごい意外。結構行ってるのかと思ってた。ていうより彼女いるんだと思ってた」
「行ってねーし彼女もいねーよ!」
「はは!しかも一馬は彼女、3年もいねーんだぜ」
「ほほぉ、3年も…。案外真田君ってピュアなんだ」
「ピュアって…苦笑」
でもこんな風に喋るのはじめてだ。
私はいつも壁を作ってたし、向こうもオドオドしながら私に話しかけてたし…。
「…あの、さ」
「なに?」
「お前、えと、城光さんと付き合ってなかったっけ?」
「…え」
やばい。
それ唐突過ぎるよ、真田くん…ていうかタブーだってば…
泣きそう…(汗)
「…!!」
言葉よりも先に大粒の涙が頬を伝う。
「おわっ!!☆$*!」
驚いて意味不明な言葉を発する一馬。
そしての反応に気づく。
「ちょ、ちょっと!どうしたの?誰?泣かせたの誰よ!?……真田君…?(冷)」
「い、いや、お、俺はただ、城光さんと付き合ってたんじゃ…って…」
「…地雷踏まないでよぉー」
はぁーっと大きくがため息をつく。
「地雷ってことは、さんは城光さんと別れたわけ?てか城光さんと付き合ってたことにも驚きだね」
静かに英士がツッコミを入れる。
「…そうよ。フラれたわよーーー!!」
はそういうと、手元にあったカクテルを一気飲みし始めた。
「ちょっとぉ店員さん!梅酒ロックとモスコ追加!!」
ガンッと勢いよくコップをテーブルに叩きつける。
「…」
その光景に、一瞬ドン引きする一同。
「…えーと、じゃあ今日はさんの失恋パーティーってことだな」
気を取り直すように結人が笑う。
「そうだね。もう合コンなんて可愛いもんじゃなさそうだし?」
英士は手元のお酒を口に持っていきながら言った。
一時間後。
「…吐きそう」
ベロンベロンに酔っ払ったが一言漏らした。
「…え!?」
その声は隣に座っていた一馬にしか聞こえていないよう。
「え。吐きそうって?ごめん。真田君つれてってあげてー」
いい具合に酔っ払ってきたがケラケラと楽しそうに笑いながら言う。
「え、ちょ、ちょっと…」
「ウプ…やばい。臨界点突破だ…」
「だぁーーー!!ちょっと待てって!」
一馬はそういうと、の肩を持ち、引きずりながらトイレにつれていった。
「さんってああいうすごいタイプなんだ?意外だね。大人しくて冷めたタイプかと思ってた」
枝豆を食べながら郭が言う。
「まぁ今日のはいつもよりすごいけど…。会社じゃキャラ変えてるもん。あの子」
「なんで?」
「一言で言えば人見知りが激しいのよ。だから素を出してないっていうか」
「へぇ」
「に元気になってもらおうと思ってコンパ開いたけど失敗だったかなぁ」
「そんなことないと思うぜ」
結人がイタズラっぽく笑う。
「なんで?」
は不思議そうに言葉を返した。
「一馬って、俺らといるときに実はさんの話結構してんだぞ」
「ええ!意外!なに、好きなわけ?」
「いや、苦手とかいってた」
「ダメじゃん(汗)」
が苦笑いしてお酒をまた口に含む。
「でも意識してるってことだろ、それだけ(笑)それに今日はお互い素を出しちゃったわけだし、何か進展あったら面白いかもなーって」
彼はそういいながらまた続けた。
「でも一馬はヘタレだから手とか出せねーけどな」
「確かにね」
結人の言葉に英士も同意していた。
「うげぇーーー」
「だ、大丈夫か?」
女子トイレには入れなかった真田は扉越しにささやく。
「…大丈夫…だよー」
「だよーって…」
─ガチャ
口をゆすいだばかりと思われるが真田の前に現れる。
「大丈夫…か?」
「…うん。だいぶスッキリしたし酔いも醒めた」
「そ、そっか」
…真田君の前でゲロしてしまった…(見られてはないが)
ま、いっか。もう失態はたくさん見られてるんだし。
それに、思ってたよりも話しやすかったし…。
「…好きだったんだぁー」
「…え?」
好きという言葉に反応した一馬の肩がゆれる。
「アンタのことじゃないし…」
「し、知ってる!!(真っ赤)」
「…あはは。私ね、なんてフラれたと思う?」
「…?」
「いつも本音を見せてくれなかったからって言われたの。私、そんなに仮面かぶってるように見えるのかな…」
目にはうっすら涙。
「…見えねぇよ…」
「正直に言え(ギロリ)」
「…見えた(ビク)」
「…やっぱりそっかぁ」
「だってさんってすげー冷たいっていうか…ああ、仕事場ではな。それに、笑顔も見せてくれねーし」
「…うん…てか、「さん」はつけなくていいよ」
「え」
「私も呼び捨てでいい…だから私も真田って呼んでいい?」
「…う、うん(そっちの呼び捨てか…ドキドキ)」
「ありがと。色々聞いてくれて。私が席隣でごめんね。急に泣き出しちゃうし」
「…別に気にしてない。むしろ俺のが悪かったし」
「…そんなことないよ。私が泣きながら飲んでたとき、ずっと隣で付き合ってくれてたじゃない」
「…え!覚えて…」
「私、酔っ払っても記憶はある人なの」
はそういうと、ばつが悪そうに笑った。
それにつられて一馬も少し笑う。
「俺、今日来てよかった。のこと分かったし」
「私も。このままじゃ、真田のこと多分むかつく無愛想な挙動不審野郎と思ってた」
「…それ、酷くないか…?(滝汗)」
「さて、そろそろ戻りますかぁー」
「お、おう」
城光さんにフラれてショックだったさ。
すごいショックだったよ。
でも、さっきより哀しくないのはなぜだろ。
チラリと横目で真田を見る。
キリっとした目。
ちょっとお酒で赤くなった頬。
フラつく私の足元を何気にかばってくれるような歩き方。
――トクン
「うぉ!!」
「うわ!!な、なんだよ」
「いや、今の無し!今の無し!!」
「…?」
の意味不明な言葉に真田は頭を傾げた。
「って変な奴だよなー…」
「あはは。よく言われてた」
「今は?」
「見せてませんから(爽)」
「まぁな。騙されるところだったぜ」
「私もね」
「おぃ!」
というわけで。
この日わたしには社会人になってからの友達が一気に3人増えたのだった。
「じゃ、今回のを記念して、俺もって呼んでいい?」
「いいよー」
「じゃ俺もでいい?さんもでいいかな?」
「いいよ」
「え、えと、俺は」
「はい。真田はじゃなくてって呼んでね」
「なっ、なんでだよ(汗)」
「なんとなく」
私がそういうと、彼は不服そうに口を尖らせていた。