―あいてるけど?
―あのね、友達と遊ぶんだけど…来てくれないかな?
―俺が行ってもいいのか?
―うん。全然平気!
っというわけでやってきました土曜日。
決戦は金曜…いいや、土曜日がやってきましたよ!
待ち合わせ場所に五分前!(私って律儀!)
でも渋沢君はその前からいました(さすがキャプテン!)
二人とりとめのない会話を交わして。
美奈子とその彼氏(もう名前なんて忘れちゃったさ)を待つ。
が、待ち合わせ時刻から早くも十分経過…
ターゲットは未だ現れませんっ!
ピロピロ♪
ハッ!
こっこの曲は美奈子専用着メロ…!
は急いで携帯を開いた。
そして急いで『受信メール』を見る。
すると…
------------------------
受信メール|10/12 11:12
美奈子
【件名】なし
【本文】
ごめーん!やっぱり用事で
いけなくなっちゃった(笑)
また今度にしようよ〜。
ごめんねぇ
美奈子ヾ(≧∇≦)テヘ
------------------------
…(笑)?
……笑えねぇんだよ!馬鹿美奈子ぉ!!!(怒)
「…はぁ」
パタンと携帯のふたを閉めると、渋沢君が問いかけた。
「友達?どうかしたって?」
「あ、うん。なんか用事でこれないとか…って本当にゴメン!渋沢君!」
「ああ、別に構わないよ」
「うっわー本当に渋沢君って天使みたいな人だね…」
「ははは(キャプスマ)」
どこぞのデビスマ男とは大違いだね、まったく。
「じゃあどこか回ろうか?」
「え?あっうん。そうだね」
グイッと軽く彼が私の手を握り締め引っ張る。
渋沢君の手は冷たかった。
そういえば三上の手ってすごい暖かかったなぁ…
「渋沢君の手って冷たいね」
「そうかな?」
「うん。心が温かい人は手が冷たいって言うじゃん?」
彼は私の言葉に、少し照れたような笑みを見せてくれた。
…三上は手も暖かかったけれど、心も温かかったと思う。
最後はあんな奴(…ケッ)だったけど、こんな私に付き合ってくれてたし。
ん?なんだろ?
視線が痛いんですけど…
あ、そっか。
渋沢君は背が高いし、優しそうで端正な顔立ちをしているから。
だから…みんなが振り返っていくんだ。
改めてマジマジと顔を見ると純粋に優しそうな人。
「…」
は目を伏せた。
彼氏がほしかった。
他人がうらやむぐらい立派な彼氏がほしかった。
そして、早く経験がしたかった。
半ば誰でもよかったんだと思う。
でも…
急に立ち止まる私。
その衝撃で一瞬掴んでいた二人の手が離れた。
「なあ」
「?」
「と三上は付き合っていたんだろう?」
「…え?」
「三上から聞いてたよ」
「そっそうなの…?」
「まだ、三上のことが好きなのか?」
「…え?」
一瞬、穏やかな渋沢君の目が冷たくこちらを捉えた。
「好き…じゃないよ」
自分で言った後、なんだか居心地が悪くて俯く顔。
「じゃあ…俺とキスできるよな?」
「…え?」
彼はそういうと、私のすぐ近くまで顔を近づけた。
その距離数センチ。
「…やっ!」
は無意識のうちに両手で渋沢を突き飛ばしていた。
「…」
「ごめ…ん」
目には無数の涙が浮かぶ。
なんで涙が零れるのか自分でも分からない。
でも、きっと…
私…三上のことが好きなんだ。
自分でも知らないうちに。
すごく、すごく好きになってたんだ。
「…私…三上のことが好きみたい」
「…」
「ご、ごめん…なさい。あんな奴なのに…すごく…好きみたい」
手の甲で涙を拭いながら渋沢君の目を直視する。
彼は呆然としたような、唖然としたような。
とにかく口を開いたままこちらを見つめていた。
「…三上は今…松葉寮にいるぞ」
「え?」
「行くなら早いほうがいい…」
「渋沢君…」
「な?」
「…ごめん渋沢君…ありがとう!」
は渋沢に背を向けると、松葉寮に向かって走り始めた。
「…知ってたよ」
の背中が見えなくなったころ、渋沢は一人呟いた。
『と三上は付き合っているのか?』
『ああ?急になんだよ』
『いや…実はな、言おう言おうと思っていたんだが』
『…?』
『俺、のことが好きなんだ』
『え?』
『俺と…は付き合ってねえよ』
『そうなのか?』
『ああ』
三上は何か考えたような顔でそう答えた。
本当は知っていたよ。
お前とが付き合っていたこと。
けどお前のことだから…きっとそういうと思ってたんだ。
「自分はズルイな」
だからこういう結果になって仕方がないのだと。
そう思えば少しは傷は軽くなるかもしれない。
「三上!!」
松葉寮で、一人の女の子の声が上がった。
『三上・渋沢』と書かれたプレートのついたドアを何の躊躇もなしに開けた。
ドアを開けると、そこには雑誌を読みながらベッドに横になっている三上がいた。
「!?どうしたんだよお前」
「私…」
「今日は渋沢とデートだったんだろ?」
彼は一瞬驚いた顔をしていたけれど、また横になると雑誌を読み始めた。
「もしかして渋沢にフラれたのか?」
そのときだけ真剣な顔をしてこちらを見つめる。
「…!」
私は必死に首を振った。
「私…亮が好き!亮は私のことを好きじゃないってことは知ってるけど…でも」
キスできなかったの。
あんなに素敵な人だったのに。
「でも…」
キスできなかったの。
三上のときはできたのに。
「馬鹿かお前」
「えっ!?」
ばっ馬鹿っていった!馬鹿っていったよこの人(わなわな)
人の一世一代の告白だって言うのに!
「こっちに来いよ」
「…え?」
亮は雑誌をベッドにボスッと置くと、私に手招きをした。
「…?」
首をかしげながらも彼に近づく。
と、その瞬間…
―グイッ
「わっ!」
私は亮に手を引っ張られ、今まで彼がいたベッドの上に転げながら倒れてしまった。
「ちょっ…」
「…」
ふっと顔を上げると、そこには優しそうに微笑む亮。
そして、彼は私の体を抱き寄せた。
「俺の台詞、先に言ってんじゃねーよ」
口の端を持ち上げて微笑んで。
「俺を選んだからには、もう逃げられねぇぞ」
私の髪を優しく撫でながら私の髪に小さくキスをする。
「亮」
「ああ?なんだよ」
「大好き!」
そう言って私はもう一度彼に抱きつく。
「バーカ」
照れ隠しのように私の背中に手を回して、亮は私の唇に自分の唇を重ね合わせた。
これから本当に始まる、私と彼の恋愛の仕方。
亮、幸せになろうね!
終わりvv…ってアレ??
「ち、ちょっと待ったぁ!!あ、亮どこさわってんのよ!」
「これで晴れてお前は俺のものになったわけだし(ニヤリ)」
「な、何をするつもりなのかなぁ…?あっ亮さん?(にっこり)」
「わかってんだろ?セック…」
「いやぁああぁ〜〜!言うなぁ!それ以上はやめてぇ!!(涙)」
まだまだ私は彼から恋愛の仕方を手順よく教えてもらわないといけません…(泣)