東 方 異 聞
「こうして…浦島太郎はおじいさんになってしまったとさ…終わり」
「なんか…悲しい話」
は古ぼけた絵本を抱え呟いた。
「何浸ってるの?」
「わっつっ翼君!」
「部活に出てないからここだと思ったんだよ」
「…うん。図書館から懐かしい絵本が出てきたから…」
今私達はカルチャーの世界ではなく現実の世界にいる。
実は前の冒険からあんまり進んでないんだよね。
だってあれから飛葉中では練習試合とかたくさんあったし…
マネージャーの私としても結構忙しくて…(誰かの所為で…)
「浦島太郎?」
「そう。なんか…昔はあんまり考えなかったんだけど、今考えると少し切ないかなぁ…とか思って」
「そう?僕としては自業自得だと思うけど」
「ハハハ…」
翼君ならそう言うと思った(汗)
―パサッ
絵本の中から薄っぺらい紙が一枚落ちてきた。
「…?」
翼は不思議そうな顔をしながらもその紙を拾い上げる。
「何て書いてあるの?」
はヒョイッと翼の横から顔を覗かせた。
「これ…カルチャーショックの初回ゲームの一つだ…」
「え…?」
「今僕達のやってるカルチャーショックは開発に開発を重ねたやつで、今回で確か…7作を超えるんだよ」
「それとこの浦島太郎の絵本とが何の関係が…あるの?」
は首を傾げながら囁いた。
「最初のカルチャーショックは日本の昔話でゲームを作ってたらしいよ」
「へぇ…そうなんだ」
「でも…内容とかが結構ヘビィで教育に悪いって批判が出たから今は発行中止になってるんだよ」
「…ってことは凄いレアなゲームなんだね」
「…(にっこり)」
「…(ビクッ)」
なんか嫌な予感がする。
この翼君の顔…絶対に何か考えてるよね…??(汗)
「翼君?」
「柾輝はまだグラウンドにいるよね?」
「翼君?(汗)」
「こうなったら話は早いね。、お前もう帰る準備しておけよ」
「翼…君?もしかして…このゲーム…やる気?」
「当たり前だろ!こういうゲームの中にほど超レアな宝物がゲットできるチャンスなんだよ。
これを逃すわけにはいかないよね(にっこり)」
「…はいぃι」
やっぱり…行く気だ…
でも何年も…ううん何十年も前のゲームの中に入るのは少し不安なんですけど…
まぁ大丈夫かな??翼君と黒川君もいるし。
─浦島太郎はおじいさんになってしまったとさ
の心の中に一つの文章が浮かびあがった。
それは今から始まる悲しい物語の始まりを意味していた。